【現役看護管理者が解説】新人看護師が夜勤を「きつい」「怖い」と感じる5つの根本理由

悩める新人看護師

「夜勤、想像以上にきつい…もう限界かもしれない…」
「夜勤が怖い、行きたくない…こんなに辛いのは私だけ?」

新人看護師として初めての夜勤を経験し、慣れない業務やプレッシャーに戸惑い、不安で押しつぶされそうになっていませんか?

何を隠そうこの記事を書いている僕自身も、新人看護師時代は夜勤が本当につらく、「無理かもしれない」と心が折れそうになった経験が何度もあるんです。 夜勤には独特の負担があり、特に新人にとっては大きな壁となることが少なくありません。

さくと

こんにちは、現役看護師+Webライターの「さくと」と申します。
この記事では、なぜ新人看護師の夜勤が特に「きつい」「怖い」と感じるのか。
そのリアルな5つの根本理由を、僕自身の体験談や、多くの新人さんを見てきた看護管理者の視点も交えながら、徹底解説します。

この記事を読めば、あなたが感じている夜勤の辛さの原因が明確になり、「自分だけじゃないんだ」と少し心が軽くなるはずです。 そして、その「きつい」という感情の正体を知ることが、次の一歩を踏み出すための大切な手がかりになります。

目次

新人看護師が夜勤を「きつい」「無理」と感じるのは当然のこと

結論から言えば、新人看護師さんが夜勤を「きつい」「怖い」「行きたくない」と感じるのは、決してあなただけではありません。 むしろ、多くの新人がぶつかる大きな壁であるとも言えるでしょう。

さくと

では、なぜ特に新人看護師にとって夜勤はこれほどまでに辛いんでしょうか? その理由は、大きく分けて以下の5つの側面が複雑に絡み合っているからなんです。 一つずつ見ていきましょう。

1. 身体的な辛さ:生活リズムの崩壊と慢性的な睡眠不足、終わらない疲労感

まず最も直接的に感じるのが、身体的な辛さです。 特に不規則な勤務時間による生活リズムの乱れと、それに伴う慢性的な睡眠不足、そして抜けきらない疲労感は、夜勤のきつさの根幹を成します。

私たちの身体には、本来、昼に活動し夜に休息するという約24時間周期の体内時計(サーカディアンリズム)が備わっています。 太陽の光を浴びて目覚め、夜暗くなると眠くなる、これが自然なリズムです。 しかし、夜勤はこの自然なリズムに逆行する働き方。 看護師の業務として必要なこととはいえ、身体が「休むべき時間」に活動し、「活動すべき時間」に眠ろうとするため、様々な不調が出やすくなるんです。

具体的な身体的負担

  • 睡眠障害(寝たいのに眠れない、夜勤明けも不眠): 夜勤明け、明るい時間に無理に寝ようとしても寝つきが悪かったり、眠りが浅かったり。 逆に夜勤中に仮眠を取ろうとしても、緊張や責任感から眠れないこともあります。
  • 日中の強烈な眠気と集中力低下: 本来、頭が冴えているはずの日勤や休日に、ぼーっとしてしまったり、集中力が続かなかったり。 患者さんのケア中に一瞬意識が飛ぶような危険な経験をする人もいます。
  • 慢性的な疲労感と倦怠感: どれだけ寝ても疲れが取れず、常に身体が重い感覚。 「夜勤明けは一日中使い物にならない」という声もよく聞きます。
  • 免疫力の低下と体調不良: 風邪をひきやすくなったり、頭痛、めまい、胃腸の不調(便秘や下痢)、肌荒れなどが起こりやすくなります。 まさに夜勤の弊害と言えるでしょう。
さくと

僕自身も新人時代、夜勤中の深夜2時、3時頃になると、患者さんの記録を書いている最中に、強烈な眠気に襲われました。 意識が遠のいて、パソコンの前でカクン、と船を漕いでしまうことも日常茶飯事。
「少しだけ目を閉じてもいいですか…?」と先輩にお願いしたことも一度や二度ではありません。 この睡眠不足と疲労の蓄積が、じわじわと心身を蝕んでいくんです。

2. 精神的な辛さ:少人数体制での重圧、急変への恐怖と判断の難しさ

次に、精神的な辛さも夜勤の大きな負担です。 日勤帯に比べて圧倒的に少ない人数のスタッフで対応しなければならないプレッシャー、そしていつ起こるか分からない患者さんの急変に対する恐怖と、その際の的確な判断を迫られるストレスは、特に経験の浅い新人の心を重くします。

夜勤帯は、看護師の配置人数が日勤帯よりも少ないのが一般的です。 これは、夜間は予定された検査や処置が少なく、患者さんも就寝している時間が長いためですが、それでも患者さんの状態が常に安定しているとは限りません。 特に急性期病棟やICUなどでは、患者さんの状態は刻々と変化します。

具体的な精神的負担

  • 増大する責任とプレッシャー: 何かあった時、自分が的確に判断し、行動しなければならない場面が増えます。 「これで合ってる?」「このアセスメントで見落としはないか…」「もし何かあったら自分の責任だ」そんなプレッシャーが常につきまといます。
  • 相談相手の不在・限られたサポート: すぐ隣に頼れる先輩や同僚がたくさんいる日勤帯とは違い、夜勤中は相談できる相手が限られます。 仮眠中の先輩を起こすべきか迷ったり、医師への報告をためらったり…一人で抱え込みがちです。
  • 急変対応への恐怖と不安: 患者さんの状態が予期せず悪化する「急変」は、いつ起こるか予測できません。 特に夜間は、応援を呼ぶにも時間がかかる場合があり、「もし今、急変が起きたら、的確に初期対応できるだろうか…」という不安は、経験の浅い新人にとっては非常に大きなストレスであり、「夜勤が怖い」と感じる原因の一つです。
  • 判断への迷い: 患者さんの訴えやバイタルサインの変化に対し、「これは緊急性が高いのか?」「もう少し様子を見ていいのか?」その判断に自信が持てず、常に不安がつきまといます。
さくと

僕も新人の頃、先輩が仮眠休憩に入っている時、受け持ち患者さんの容態が急変したことがありました。
モニターのアラームが鳴り響き、頭の中は真っ白。 「どうしよう、どうしよう!」と焦るばかりで、緊急時のドクターコールもしどろもどろ…。
幸い大事には至りませんでしたが、あの時の心臓がバクバクする音と、手の震えは、今でもはっきりと思い出せます。 あの瞬間、「看護師、向いてないかもしれない」とさえ思いました。

もちろん、どの病院も緊急時の対応マニュアルやサポート体制はあります。 しかし、最初に患者さんの異変に気づき、行動を起こすのは、多くの場合、担当している自分自身です。 その瞬間のプレッシャーと責任感は、経験を積むまでは言葉で言い表せないほど重いものなんです。

3. 環境的な辛さ:夜勤特有の雰囲気と濃密な人間関係のストレス

三つ目は、夜勤特有の環境や、人間関係からくるストレスです。 これも新人にとっては見過ごせない辛さであり、「夜勤に行きたくない」と感じる一因です。

まず、夜の病院という独特の環境。 日中の喧騒が嘘のように静まり返り、薄暗い廊下を一人で巡回していると、なんだか心細い気持ちになったりしませんか? 些細な物音にもドキッとしたり。 慣れないうちは、この特有の雰囲気自体がストレスになることもあります。

そして、避けて通れないのが人間関係。 夜勤は日勤と比べ、限られたメンバーで長時間一緒に過ごすことになります。

具体的な環境・人間関係のストレス

  • 質問や相談のしにくさ: 「先輩、忙しそうだな…」「こんな初歩的なこと聞いたら、呆れられるかな…」「アセスメントが不十分だと思われたくない」そう思うと、疑問があってもなかなか声をかけられない。 結果、一人で抱え込んでしまい、不安が増大します。
  • 同期との微妙な関係: 同じように夜勤で疲弊している同期に、弱音を吐きづらかったり、悩みを共有しても「そうだよね!私も!」で終わってしまい、具体的な解決には繋がらなかったりすることも。
  • 人間関係の相性(特に苦手な人との夜勤): 正直なところ、どうしても「苦手だな」と感じる先輩や同僚もいるかもしれません。 日勤なら関わる時間が短くても、夜勤でペアになったりすると、そのストレスは計り知れません。「夜勤の忙しさより、だれと夜勤をするかの方が重要!」と断言しているスタッフもいました。
  • 閉鎖的な環境での緊張感: 夜間は外部との接触が少なく、限られたスタッフとのコミュニケーションが中心となるため、人間関係の小さな摩擦が大きなストレスに感じやすい傾向があります。
さくと

ある時、僕が苦手としていた先輩と2人きりの夜勤がありました。
緊急入院の患者さんを受け入れるために、病棟内のベッド移動が必要になったんです。 一人では少し大変だったので、先輩に「手伝っていただけませんか?」とお願いしたら、「え?それくらい一人でできないの?」と冷たく返されてしまって…。
結局、渋々一人で重いベッドを動かしましたが、その時の悔しさや、やりきれない気持ちは忘れられません。 夜勤はその日のメンバーによって、働きやすさや精神的な負担が大きく変わる。 これも紛れもない事実であり、新人にとっては特に大きな不安材料です。

4. 新人ならではの辛さ:知識・技術不足への深刻な不安と理想とのギャップ

そして四つ目が、新人看護師だからこそ特に強く感じる、圧倒的な知識や技術不足への不安、そして看護師としての理想と厳しい現実とのギャップです。 これが「自分は看護師に向いてないのかもしれない」「仕事で抜けが多いのではないか」といった自己否定感に繋がりやすい部分です。

看護学校で多くのことを学び、国家試験にも合格した。 それでも、実際の臨床現場、特に人手が少なくプレッシャーの大きい夜勤という状況では、「本当にこれで大丈夫だろうか?」「患者さんの命を預かる責任を果たせているだろうか?」という深刻な不安が常につきまといます。

具体的な新人特有の不安

  • 判断への絶対的な自信のなさ: 患者さんの訴えや観察したことから、「これは緊急性が高いのか?」「この処置で合っているのか?」「もう少し様子を見ていいのか?」その一つ一つの判断に自信が持てず、常に迷いが生じます。
  • アセスメント・看護技術への不安: 「このアセスメントで合ってる?」「点滴のルート確保、失敗したらどうしよう…」「体位変換や排泄ケアはこれで患者さんに苦痛を与えていないだろうか」一つ一つのケアに時間がかかったり、不安を感じたりします。
  • インシデントへの恐怖とプレッシャー: 「ちゃんとできているだろうか」「先輩や患者さんに迷惑をかけていないだろうか」「もし重大なミスをしたら…」周りの目が気になり、常に評価されているようなプレッシャーを感じてしまいます。 ケアレスミスやインシデントを起こしてしまうことへの恐怖は計り知れません。
  • 理想の看護師像とのギャップ: 看護師になる前に思い描いていた「テキパキと仕事をこなし、患者さんに寄り添える理想の看護師像」と、目の前の業務に必死で、十分に患者さんとコミュニケーションも取れない自分とのギャップに落ち込んでしまうことも。 「もっとできるはずだったのに…」という無力感に苛まれます。
  • 多重業務への対応困難: 夜勤は、巡回、記録、点滴交換、食事介助、ナースコール対応など、複数の業務を同時にこなす必要があります。 経験の浅い新人は、優先順位付けや効率的な業務遂行が難しく、パニックに陥りやすいです。
さくと

これも僕の苦い思い出ですが、夜勤終盤の慌ただしい時間帯。 朝のケア、バイタルサイン測定、記録、配薬準備…と、多重業務をうまくさばけず、完全にパニックになってしまったことがあるんです。
結局、見かねた先輩が駆けつけて手伝ってくれて、ただただ「すみません…」と謝ることしかできませんでした。 あの時の情けなさと申し訳なさは、今でも胸がチクリと痛みます。

「でも、知識や技術は経験を積めば自然と身についていくものでしょう?」そう考える人もいるでしょう。 それは間違いありません。 日々の経験は、何よりの学びとなり必ずあなたの力になります。 しかし、その成長過程で感じる不安や焦り、自信のなさは、今この瞬間のあなたにとっては、とてもリアルで重たいもののはずです。 その気持ちに蓋をする必要はありません。

5. 【コラム】女性看護師特有の悩み:ホルモンバランスと夜勤のダブルパンチ

最後に、多くの看護師が女性であることから、女性特有の悩みについても触れておきたいと思います。 (この記事を書いている僕は男性ですが、長年、多くの女性看護師さんと一緒に働き、管理者としてスタッフの相談に乗る中で見聞きしてきたことです。)

女性の場合、生理周期に伴うホルモンバランスの変化が、心身の調子に大きく影響することがあります。

  • PMS(月経前症候群): イライラしたり、気分が落ち込んだり、眠気が強くなったり、集中力が低下したり。
  • 生理痛(月経困難症): 下腹部痛や腰痛、頭痛などで、ただでさえきつい夜勤業務に集中するのが非常に辛い。
  • 貧血傾向: 生理中の出血により、立ちくらみや倦怠感を感じやすく、夜勤中の体力的な負担が増します。

これらの症状が、不規則な夜勤生活によって、さらにコントロールしにくくなったり、症状が悪化したりするケースは少なくありません。 「夜勤が続くと生理不順になりやすい」「肌荒れがひどくなる」「精神的に不安定になる」といった声は本当によく聞きます。 これは、生活リズムの乱れがホルモンバランスに影響を与えやすいことや、夜勤による睡眠不足、ストレスなどが複合的に作用するためと考えられます。

もし、あなたがこうした女性特有の体調不良で悩んでいるなら、決して我慢しないでください。 信頼できる同僚や先輩に話してみるのもいいですし、症状が続くようなら、婦人科を受診したり、上司(師長など)に相談して勤務調整(夜勤回数の軽減や免除など)を検討してもらったりすることも考えてみてください。 あなたの身体と健康が何よりも大切です。

まとめ:「夜勤がきつい・怖い」と感じるのは、あなたが真剣だからこそ

ここまで、新人看護師さんが夜勤を特に「きつい」「怖い」「無理だ」と感じる5つの根本的な理由を詳しく見てきました。

  • 身体的な辛さ: 生活リズムの崩壊、睡眠不足、終わらない疲労感
  • 精神的な辛さ: 少人数体制での重圧、急変への恐怖と判断の難しさ
  • 環境的な辛さ: 夜勤特有の雰囲気と濃密な人間関係のストレス
  • 新人ならではの辛さ: 知識・技術不足への深刻な不安と理想とのギャップ
  • 女性特有の悩み: ホルモンバランスと夜勤のダブルパンチ

これらの理由を知ることで、「辛いのは自分だけじゃなかったんだ」「夜勤が怖いと感じるのは当たり前なんだ」と少しでも感じていただけたでしょうか。 夜勤の辛さやそれに伴う不安は、決してあなたの甘えや能力不足、仕事への不真面目さから来るものではありません。 むしろ、あなたが真剣に仕事に向き合い、患者さんのことを考え、責任感を持って頑張っているからこそ強く感じるものなんです。

この「きつい」という感情の正体を理解することは、次の一歩、つまり「どうすればこの辛さを乗り越えられるのか?」「自分に合った働き方は何なのか?」を考えるためのスタートラインです。

さくと

次の記事では、この辛い夜勤を乗り越えていくための具体的なヒントや、先輩看護師たちがどのようにして「慣れ」と「成長」を掴んできたのかについて、詳しくお伝えしていきます。

次の記事はこちら

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この記事を書いた人

さくとのアバター さくと 現役看護副師長&医療WEBライター

現役看護師で副看護師長をしているさくとです!
こども2人を育てながら、集中治療部門でバリバリ働いています。
これまでの看護師経験を活かし、後輩看護師の悩みを解決できるような情報発信を目指します。

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